最終更新日:2023/08/15
まわりにいた喫煙者がいつの間にか禁煙し始めて、気つけば、いまだに吸っているのは自分だけ、というみなさんもいるかもしれません。寄る年波にも勝てませんが、禁煙の波にも抵抗しがたいものがあります。これからの喫煙者は、分煙を前提にした取り組みが必要です。今回の記事では、その一環として、屋内型の喫煙ブースについて解説します。
みなさんも、屋内型の喫煙ブースを利用したことがあるでしょう。喫煙所は、大きく分けると、屋内喫煙所と屋外喫煙所の2種類があります。言葉どおりに解釈すれば、屋内と屋外の区別は簡単です。
しかし、厚生労働省の職場における、受動喫煙防止のためのガイドラインによると、両者の違いは厳密です。
以下、大まかな定義を挙げておくと、屋内とは、外気の流入がスムーズではなく、屋根つきの建物内であること、同時に、半分以上側壁に覆われている空間となります。これ以外は、屋外とみなされることを覚えておいてください。
屋内喫煙室は、喫煙専用室、指定たばこ専用喫煙室、喫煙目的室、喫煙可能室、4種類のタイプに分類されているのが大きな特徴です。それぞれ相違点があるので注意しましょう。まず、喫煙専用室は、文字どおり喫煙は可能ですが、飲食などはできません。
具体的には、事務所や工場、ホテル、旅館などです。指定たばこ専用喫煙室は、加熱式たばこに限定された場所で、飲食などもできます。身近な例でいえば、居酒屋チェーンなどです。
喫煙目的室は、喫煙できるうえに、主食を除く飲食も可能で、たばこ販売店やパブリックな喫煙所などが該当します。最後の喫煙可能室は、喫煙、飲食など、両方できますが、設置には一定の条件があるので要注意です。
2020年4月1日以前から存在する飲食店、資本金が5,000万円以下、客席面積が100平方メートル以下、と規定されていて、個人で商う小さな居酒屋などの飲食店に対する経過措置となっています。
では、次に屋内型の喫煙ブースの特徴やメリットにはどのようなものがあるのか、確認しておきましょう。
いちばん際立つメリットといえば、喫煙者、非喫煙者、どちらにとっても、気持ちよく過ごせる空間がつくれることです。2020年に改正した健康増進法の全面施行により、受動喫煙防止の考えが強く打ち出されるようになりました。
この状況下では、以前と違って、どこであれ好きな場所での喫煙は難しくなっています。あくまで分煙という概念のもと、非喫煙者に対する適切な配慮が欠かせません。
屋内型の喫煙ブースを設けることで、たばこの匂いや煙で嫌な思いをする人もいなくなり、なおかつ、喫煙者にとっても気兼ねなく喫煙できる場所が確保されます。敵対することなく、お互いに快適なひとときを共存できるわけです。
たとえば、オフィス内に喫煙ブースを設置した場合、喫煙所への移動時間の短縮は、とくに見逃せないポイントでしょう。かつては、遠くにある屋外の喫煙所までわざわざ足を運ぶこともあったはずです。
ましてや雨の日などの悪天候時には、喫煙自体を諦めてしまうこともあったかもしれません。働いている現場に喫煙ブースがあれば、天気に左右されることなく、移動時間もかからず、上手に気分転換できます。
結果として、仕事に対する意欲が高まることもあるでしょう。
いいこと尽くしのようですが、屋内喫煙ブースの設置には、もちろん、少なからずデメリットがあります。
みなさんにとっても気がかりなのは、費用面についてでしょう。簡単な組み立て式もありますが、仕切りのための壁をつくるなど、喫煙ブースの設置には専門業者による工事が必要です。
サイズや材質、機能性にもこだわれば、その分、コストもかさみます。また、運用し続けていくうえで、換気システムなどのランニングコストも不可欠です。
法令面でも順守しなければならない項目があります。空気清浄化のための換気設備の充実、給気口および排気口による気流の確保、天井や壁を使ったうえで煙の流出を防ぐこと、喫煙ブースの出入り口へと流れる気流の風速を0.2m以上にするなどです。
7さらにいえば、定期的なメンテナンスも必須事項です。
4半世紀以上の喫煙歴を誇るベテランからすれば、現在のような分煙を推し進める世の中になるとは、予測もつかなかったことでしょう。ひと昔前なら気軽にできた歩きたばこも、街中ではままならなくなっています。
飲食店でも同様です。客同士のたばこの煙が立ちのぼるなか、お気に入りのお酒を傾けながら、大好物の串焼きを頬張る、という至福の体験も限られた場所でしかできません。
しかし、嘆いていては、いよいよ肩身が狭くなるばかりです。たばこに関しても、時代は確実に変わり始めています。愛煙から分煙へと意識を切り替えて、たばこを吸わない人のことも大切にする考えは、これからますます重要になるにちがいありません。
そのことを踏まえたうえで、今回の記事で紹介した喫煙ブースなどで、今まで以上にたばこを楽しんでみてください。