受動喫煙防止対策で活用できる助成金制度について。申請手順まとめ
企業や店舗の中で、少ないながらも一定数いる喫煙者のために、喫煙ブースの設置を検討している方は多いのではないでしょうか。実は喫煙ブースを設置することで、受動喫煙防止対策による助成金制度を受けられる可能性があります。この記事では、受動喫煙防止対策で活用できる助成金について解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
受動喫煙防止対策で活用できる助成金制度
受動喫煙防止対策の助成金は、中小企業の事業主が、労働者の受動喫煙を防ぐために喫煙ブースを設置すると交付されるもので、中小企業での受動喫煙防止を推進するために国をあげて実施されているものです。
これから社内に喫煙ブースの設置を検討している企業の方は、ぜひこの助成金制度を活用しましょう。
受動喫煙防止対策で助成金を受けられる対象の事業主
受動喫煙防止対策の助成金はすべての企業が受けられるのではなく、対象となる事業主が決まっています。まずは、労働災害保証保険適用の事業主であること、事業場内で分煙の措置を講じた区域以外を禁煙にすることです。
また、小売業の場合、労働者数が50人以下、もしくは資本金が5,000万円以下の事業主。サービス業の場合、労働者が100人以下、もしくは資本金が5,000万円以下の事業主。
卸売業の場合は、労働者数が100人以下、もしくは資本金が1億円以下の事業主。そのほかの業種の場合、労働者数が300人以下、もしくは資本金が3億円以下の事業主が対象になります。
受動喫煙防止対策の助成金を受け取るためには?
上述した対象事業主に該当する企業が受動喫煙防止対策の助成金を受け取るためには、どのようなことをすればよいのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
喫煙専用室の設置・改修
喫煙専用室の設置や改修をする場合、入り口における風速が毎秒0.2m以上であること、喫煙専用室の設備が改正健康増進法の基準に適合するものであることが助成金を受け取る条件です。
加熱式煙草専用喫煙室・シガーバーなどの設置・改修
加熱式煙草専用喫煙室やシガーバーなどを設置・改修する場合は、入り口における風速が0.2m/秒以上であること、労働者が受動喫煙を受けないように対策を講じること、そのほかの改正健康増進法の基準に適合する設備であることが条件です。
屋外喫煙所の設置・改修
屋外に喫煙所を設置、改修する場合、喫煙所で煙草を吸うことで、喫煙所直近にある建物の出入り口で粉じん濃度が増加しないことが条件です。
換気装置等の設置・改修
これは宿泊業や飲食店を経営している事業場のみに当てはまる条件です。換気装置等の設置や改修をする場合、喫煙区域の粉じん濃度が0.15mg/m²以下、もしくは必要換気量が70.3×(座席)m³/時間以上になることが条件になります。
助成金はどのくらいもらえる?
上述した条件を満たすと、助成金はどのくらいもらえるのでしょうか?助成金は、上述した分煙措置にかかる工費、設備費、機械装置費の1/2の金額です。飲食店の場合は、2/3の金額の助成金が受け取れます。
ただし、助成金額には条件があります。喫煙室の設置や改修、屋外喫煙所の設置や改修の場合、1m²あたり60万円まで、それ以外の換気装置設置などの措置の場合は、1m²あたり40万円までとなります。さらに、助成金の総額の上限は100万円です。
受動喫煙防止対策で活用できる助成金の申請手順
助成金を受け取れる条件と助成金額がわかったところで、実際に助成金を申請する手順を見ていきましょう。
助成金の制度を把握する
申請をする前に、助成金制度の内容をきちんと把握しましょう。受動喫煙防止対策の助成金制度は、厳格な運用が求められています。そのため、申請前に交付要綱や交付要領をきちんと読みましょう。
申請書類の準備
申請書類は、受動喫煙防止対策助成金交付申請書・受動喫煙の防止に係る事業計画・交付要件に該当する旨及び不交付要件には該当しない旨の申し立てを行う書類・措置を講じる場所の工事前の3か月以内に撮影した写真・設置を予定している喫煙室や換気装置の場所など助成事業の詳細を確認できる資料・講じる措置が要件を満たして設計されていることが確認できる資料・事業場の室内とそれに準ずる環境で、措置を講じる区域以外で喫煙を禁止する旨を説明する書類・講じる措置に関する施工業者からの見積書の写し・事業開始の特例に係る申請書・そのほか都道府県労働局長が必要と認める書類が必要です。
これらの申請書類を2部ずつ用意し、所轄の労働局に提出します。原則1か月以内に審査が行われます。
交付決定通知書受領
審査に通り助成金の交付が適用されると、労働局から「受動喫煙防止対策助成金交付決定通知書」が発行されます。通知書を受領したら、喫煙ブース等の工事に着手しましょう。
工事の発注・施工
通知書の内容に従って、喫煙ブース等の工事を実施します。
工事費用の支払い
工事が完了したら、工事費用を支払い、領収書と明細を必ず受領しましょう。また、分割払いやリース契約の場合、助成金は交付されないので注意してください。
事業実績報告
事業実績報告書類を2部ずつ作成し、所轄の労働局に提出します。事業実績報告は、交付決定のときに指定された期日までに必ず行いましょう。
交付額確定通知書受領
最終的な交付額が決定すると「交付額確定通知書」が発行されます。
請求書の提出
所定の様式の請求書に、助成金の振込先指定口座を記入し、所轄の労働局に提出します。
助成金の受領
すべての手続きが完了したら、指定口座に助成金が振り込まれます。
まとめ
受動喫煙防止対策の助成金制度についてご紹介しました。今や、居酒屋などの飲食店でも煙草が吸えず、街中にあった喫煙所も姿を消しました。そのため、煙草を吸う人は肩身の狭い思いをしているのが現実です。煙草を吸う人も吸わない人も快適に過ごすためには、喫煙ブースなどの設置はマストといえます。受動喫煙防止対策の助成金制度を活用して、煙草を吸う人も吸わない人も気持ちよく過ごせる環境を創りましょう。
