公開日:2026/09/18
職場での受動喫煙を防止するため、喫煙専用室の設置・改修などを検討している事業者にとって、活用を検討したい制度のひとつが「受動喫煙防止対策助成金」です。2026年度も申請受付が行われており、申請期限は2027年1月31日ですが、予算額に達した場合は期限前に締め切られる予定です。
この助成金は、職場における受動喫煙を防止するための設備整備などに必要な費用の一部を支援する制度です。ただし、対象となる事業者や施設、工事内容には条件があり、誰でも自由に利用できるわけではありません。
また、原則として工事をはじめる前に交付申請を行い、交付決定を受ける必要があります。そこで本記事では、2026年度の受動喫煙防止対策助成金について、対象となる事業者や取り組み、補助額・助成率、申請方法、申請時の注意点などを分かりやすく解説します。
制度の利用を検討している方は、実際に工事を発注する前に、対象要件や申請スケジュールを確認しておきましょう。
もくじ
受動喫煙防止対策助成金は、すべての企業が利用できる制度ではありません。2026年度の制度では、労働者災害補償保険の適用事業主で、一定の要件を満たす中小企業事業主が対象です。
また、対象となる事業場についても、健康増進法上の「第二種施設」であることなどの条件があります。
受動喫煙防止対策助成金を利用するには、まず労働者災害補償保険の適用事業主であることに加え、中小企業事業主に該当する必要があります。中小企業事業主に該当するかどうかは、主たる業種ごとに定められた労働者数または資本金などの基準によって判断され、どちらか一方の条件を満たせば該当する場合があります。
2026年度の受動喫煙防止対策助成金では、対象となる事業場が健康増進法の「既存特定飲食提供施設」であることが必要です。これは、改正健康増進法による規制の適用が一部猶予されている既存の小規模な飲食店を指します。
そのため、飲食店を新しく開業する場合や、対象要件を満たさない規模・形態の店舗などは、この助成金の対象外となる可能性があります。自社の店舗が対象となるか判断できない場合は、申請を進める前に所轄の都道府県労働局へ確認しておくと安心です。
助成金の対象になるのは、受動喫煙を防止するために設置・改修する設備であれば何でもよいというわけではありません。2026年度は、一定の要件を満たす「喫煙専用室」や「指定たばこ専用喫煙室」の設置・改修に必要な経費が対象です。
たとえば、喫煙室については、入口における風速が毎秒0.2m以上であること、煙が室内から室外へ流出しないよう壁や天井などで区画されていること、煙を屋外または外部の場所へ排気することなどの要件があります。
受動喫煙防止対策助成金を利用する際、とくに気になるのが「いくら補助してもらえるのか」という点です。2026年度は、喫煙専用室などの設置・改修にかかる対象経費について、主たる業種が飲食店の場合は3分の2、それ以外の業種は2分の1が助成され、1事業場あたりの上限額は100万円です。
単位面積あたりの対象経費には60万円/㎡という上限の目安が設定されていますので、必要以上に高価な設備を導入した場合には減額される可能性があります。助成金を最大限活用するためにも、対象となる費用と上限額を事前に確認しておきましょう。
2026年度の制度では、主たる業種が飲食店である中小企業事業主について、助成対象経費の3分の2が助成されます。たとえば、助成対象となる工事・設備費が90万円だった場合、単純計算では60万円が助成額となります。
ただし、実際の助成額は申請内容や設備の必要性などを踏まえて決定されるため「対象経費の3分の2が必ず支給される」と考えるのは避けましょう。
主たる業種が飲食店以外の中小企業事業主の場合、助成率は2分の1です。たとえば、助成対象経費が100万円であれば、助成額の計算上は50万円が目安となります。
ただし、飲食店以外の場合は、対象となる設備の面積に対して1㎡あたり60万円という対象経費の上限も考慮する必要があります。
助成金の上限額は、1事業場につき100万円です。また、同じ事業場で複数の場所に受動喫煙防止対策を行う場合でも、同時期に実施する措置についてはひとつの申請として扱われ、合計の上限額は100万円となります。
さらに、過去にこの助成金を受けた事業場は、原則として再度申請できません。
受動喫煙防止対策助成金を利用する場合は、工事をはじめる前に所定の手続きを行う必要があります。とくに注意したいのが、交付決定を受ける前に工事の契約や着工、支払いなどを行わないことです。
申請をする際は、助成対象となる工事内容や費用を明確にしたうえで、必要書類をそろえて提出しましょう。
申請前に、自社が助成対象となる事業者・事業場に該当するかを確認しましょう。対象要件を満たしていない状態で工事計画を進めると、後から助成金を利用できない可能性があります。
あわせて、設置する喫煙専用室などが助成対象となる設備要件を満たしているかも確認します。換気設備や区画、出入口における風速など、設備に関する基準があるため、設計段階から確認しておくことが大切です。
対象となる工事内容を決めたら、施工業者から見積もりを取得し、助成対象となる経費を確認します。そのうえで、必要な申請書類を準備して交付申請を行います。
申請内容には、工事の目的や内容、費用などを記載することになるため、見積書や設備の仕様が分かる資料なども整理しておきましょう。また、助成金では「必要以上の性能を有する機械設備」や「高価な材料」を使用した場合、減額査定の対象となることがあります。
交付申請を提出したのちに内容が審査され、交付決定を受けてから工事を進めるのが基本的な流れです。ここで重要なのは、交付決定前に工事へ着手しないことです。
先に工事をはじめてしまうと、助成対象外となる可能性があります。また、交付決定を受けた内容から工事内容を変更したい場合も、自己判断で進めるのではなく、速やかに交付決定を行った都道府県労働局へ相談する必要があります。
受動喫煙防止対策助成金では、喫煙専用室などを整備するために必要となる工事費や設備費などが助成対象となります。ただし、受動喫煙防止に直接必要とはいえない設備や、必要以上に高額な仕様については対象外となったり、助成額が減額されたりする場合があります。
そのため、工事内容を決める際は「どの設備にいくらかかるのか」を明確にし、助成対象となる経費と対象外の経費を分けて考えることが重要です。
助成対象となる経費には、喫煙専用室などの設置・改修に必要な工費、設備費、備品費、機械装置費などが含まれます。たとえば、喫煙室を新たに設けるための間仕切り工事や、煙を屋外へ排出するための換気設備の設置などが対象となる場合があります。
ただし、工事にかかった費用がすべて自動的に助成対象になるわけではありません。申請した工事内容や設備が制度の要件を満たしていることが前提となります。
助成金を利用するからといって、もっとも高性能な設備や高価な材料を選べばよいわけではありません。受動喫煙防止に必要な範囲を超えた設備や、合理的な理由なく高価な材料を使用する場合には、助成対象経費として認められる金額が減額される可能性があります。
設備を選ぶ際は「高性能だからよい」という考え方ではなく、助成制度の基準を満たしながら、受動喫煙を適切に防止できる仕様かどうかを確認しましょう。
対象経費についてとくに注意したいのが、工事をはじめる前に確認することです。受動喫煙防止対策助成金は、工事着工前に交付申請を行い、あらかじめ交付決定を受ける必要があります。
また、助成金の支給は工事実施後であり、概算払いではありません。そのため「とりあえず工事をはじめて、完成後に助成金を申請する」という進め方はできません。
施工業者と工事内容や見積もりを決めた段階で、対象経費や設備要件について所轄の都道府県労働局へ確認しておくと安心です。
受動喫煙防止対策助成金は、喫煙専用室などの整備費用を抑えられる便利な制度ですが、申請すれば必ず受給できるわけではありません。対象となる事業者や施設、設備の要件を満たす必要があるほか、工事前の申請や交付決定後の着工など、手続き上のルールもあります。
助成金を利用する場合は、まず必要な書類をそろえて交付申請を行い、交付決定を受けてから工事を進める必要があります。「工事を先に済ませて、あとから助成金を申請する」という進め方では、助成対象にならない可能性があります。
また、交付決定後に申請時の計画から工事内容を変更する場合も、自己判断で進めるのは避けましょう。
2026年度の申請期限は2027年1月31日ですが、期限までに必ず申請できるとは限りません。予算額に達した場合は、申請期限より前に受付が終了するためです。
そのため「まだ期限まで時間があるから」と準備を後回しにするのはおすすめできません。とくに喫煙専用室の設置では、現地確認や設計、見積もりの取得、申請書類の準備などに時間がかかります。
申請時に提出した計画と、実際に行う工事の内容が大きく異ならないようにすることも重要です。たとえば、申請後に設備を変更したり、工事範囲を追加したりすると、当初の交付決定と異なる扱いになる可能性があります。
費用についても、申請時に想定していなかった工事を追加したからといって、その分が自動的に助成対象になるわけではありません。また、受動喫煙防止対策助成金は、必要以上に高額な設備や材料を使用した場合、減額査定の対象となることがあります。
受動喫煙防止対策助成金は、申請書を提出して終わりではなく、交付決定、工事、実績報告、助成額の確定、支給という流れで手続きが進みます。とくに重要なのは、工事の着工前に交付申請を行い、交付決定を受けることです。
工事完了後には実績報告も必要となるため、申請時だけでなく工事中・工事後の書類や写真なども適切に保管しておきましょう。
まずは、助成金の対象となる事業者・事業場であることや、設置する喫煙専用室などが要件を満たしていることを確認します。そのうえで、工事内容や費用を整理し、必要な申請書類を作成して所轄の都道府県労働局へ提出します。
申請時には、受動喫煙の防止に係る事業計画や、設備が要件を満たすよう設計されていることを確認できる資料などが必要になります。
工事が完了し、工事費用の支払いまで終わったら、事業実績報告書を提出します。実績報告では、交付決定を受けた内容どおりに工事が実施されたか、助成対象となる費用が適切に支払われたかなどが確認されます。
具体的には、工事費用の領収書や内訳、振込明細などのほか、完成した喫煙専用室の写真や設備の詳細が確認できる資料などを準備します。
実績報告を提出すると、都道府県労働局による審査が行われます。交付決定した内容と実際の工事内容が一致していることなどが確認され、助成金の額が確定します。
その後、支払いを請求することで、確定した助成額が支給される流れです。つまり「申請→交付決定→工事→支払い→実績報告→助成額の確定→支給」という順番で進むと理解しておくとよいでしょう。
受動喫煙防止対策助成金では、喫煙専用室などの設置に必要な費用が幅広く対象となる一方、受動喫煙防止に直接関係しない費用は助成対象になりません。また、対象となり得る設備であっても、必要以上に高額な仕様を採用した場合は減額されることがあります。
助成金はあくまで「受動喫煙を防ぐための設備整備」を支援する制度ですので、快適性向上や企業イメージ向上を目的とした投資までカバーするものではありません。申請時には、工事内容や設備仕様が制度の趣旨に沿っているかを丁寧に整理しておきましょう。
喫煙専用室の設置に伴う建築工事や電気工事など、設備の性能に直接関係する費用は対象となり得ます。一方で、喫煙専用室の外観や内装を美しくすることを目的としたデザイン料などは、受動喫煙防止に直接寄与しないため助成対象外となります。
たとえば、喫煙室の壁や天井を設置するための工事は対象となる可能性がありますが、デザイン性を高めるための装飾やインテリアにかかる費用まで助成されるわけではありません。助成金を利用する場合は「利用者にとって快適な空間にするための費用」と「受動喫煙を防止するために必要な費用」を分けて考えることが大切です。
とくに、企業のブランドイメージ向上を目的とした内装デザインは、制度の趣旨から外れるため注意が必要です。
助成金の申請に必要な書類を作成するための費用や、申請そのものを代行してもらうための報酬も、原則として助成対象外です。厚生労働省の手引きでは、申請書作成費用や見積書作成費用、申請代行のための社会保険労務士への報酬などが対象外の例として挙げられています。
施工業者や専門家に申請手続きをサポートしてもらう場合は、その費用まで助成されるとは限らないため注意しましょう。また、厚生労働省では、申請者自身が助成金制度や申請する事業の内容を理解したうえで申請するよう注意喚起しています。
制度の趣旨を理解していないまま代行に任せると、必要書類の不備や申請内容の齟齬が生じる可能性もあるため、施工業者などに手続きを任せる場合でも、事業者側で申請内容を確認しておきましょう。
喫煙専用室に設置する家具や娯楽設備なども、受動喫煙防止対策に直接必要なものではないため、対象外となる場合があります。厚生労働省の手引きでは、映像機器、音響機器、絵画、観葉植物、本棚、机、椅子などが対象外の例として示されています。
一方、喫煙専用室に据え付けて使用する灰皿など、一部の備品は対象となり得ます。「喫煙室を利用する人のために必要だから」という理由だけで、すべての設備が助成されるわけではないのです。
さらに、助成対象経費には1㎡あたり60万円の上限も設けられています。高額な設備を導入する場合は、助成対象額が想定より低くなる可能性があるため、見積もりの段階で対象経費と対象外経費を分けて確認しておきましょう。
設備仕様を過度に高級化すると、助成金の対象外部分が増え、自己負担額が大きくなる点にも注意が必要です。
2026年度の受動喫煙防止対策助成金は、職場での受動喫煙を防止するため、喫煙専用室などの設置・改修にかかる費用の一部を助成する制度です。助成率は、主たる業種が飲食店の場合は対象経費の3分の2、それ以外は2分の1で、1事業場あたりの上限は100万円です。
申請期限は2027年1月31日ですが、予算額に達した場合は期限前に受付が終了します。対象要件や設備基準、対象経費を事前に確認し、必要な工事内容を整理したうえで早めに申請準備を進めましょう。
制度について不明な点がある場合は、所在地を管轄する都道府県労働局に相談することをおすすめします。
引用元:https://www.ergojapan.co.jp/smokeclear/
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