• 企業に求められる禁煙対策と取り組みの進め方

  • 公開日:2025/12/15  

取り組み

近年の企業活動においては、コンプライアンスの遵守が強く求められています。禁煙対策もまた、企業が取り組まなければならない問題の1つです。本記事では、具体的な禁煙対策や取り組みの進め方などをまとめて解説します。企業が禁煙対策を行うメリットもあわせて紹介するので、ぜひ参考にして禁煙対策を進めてください。

企業における従業員の禁煙対策

企業における禁煙対策は、従業員の健康を守るだけでなく、職場環境の快適さや生産性向上にもつながる重要な取り組みです。

社内ルールの策定・周知

まず基本となるのは、社内の禁煙ルールを明確にし、従業員にきちんと周知することです。具体的には、就業規則や衛生管理マニュアルに「勤務時間中の喫煙禁止」「オフィス内全面禁煙」「敷地内喫煙場所の指定」などを明文化することが求められます。また、ルール違反時の対応についてもあらかじめ定めておくことで、規則の実効性が高まります。

喫煙ブースを設ける

完全禁煙が難しい場合は、喫煙専用ブースの設置が有効です。ただし、改正健康増進法では、喫煙室の種類ごとに細かい基準が定められており、設置の際には換気設備や分煙措置などの技術基準を満たす必要があります。「喫煙専用室」は喫煙のみ可能で飲食は禁止、「加熱式たばこ専用室」では加熱式たばこの喫煙と飲食が可能ですが、紙巻きたばこは不可です。

標識の掲示・仕切りを設ける

さらに、喫煙エリアには20歳未満の立ち入りが禁じられています。そのため、企業は標識の掲示や物理的な仕切り、管理者の配置などで未成年者が誤って入らないように対策を取る必要があります。この管理を怠ると行政指導や処分の対象となる可能性もあるため、注意が必要です。

禁煙できる環境を整える

加えて、禁煙対策を進めるうえで重要なのは、喫煙者が無理なく禁煙できる環境を整えることです。具体的には、禁煙外来の費用補助、禁煙セミナーの実施、ニコチンパッチやガムなどの補助用品の提供、医療機関と連携した禁煙プログラムの導入などが挙げられます。

企業が禁煙対策を行うメリット

企業が禁煙対策を進めることは、従業員の健康を守るだけでなく、企業の持続的な発展や社会的評価向上にもつながる重要な取り組みです。

従業員の健康維持につながる

まず、従業員の健康維持という観点では、喫煙率の低下により肺がんや心臓病、脳卒中、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)といったさまざまな健康リスクを抑えることが期待できます。健康リスクの軽減は、体調不良や病欠、離職の減少につながり、結果的に労働生産性の向上や安定した職場環境の構築にも寄与します。そのため、企業にとって禁煙対策は従業員の健康維持だけでなく、組織全体の効率向上や働きやすさの改善にも直結する施策と言えるでしょう。

法的リスクの回避

また、法的リスクの回避という面でも禁煙対策は欠かせません。改正健康増進法に基づき、喫煙室の設置基準を満たしていなかった場合には最大50万円の過料が科せられることがあり、十分な受動喫煙対策を講じなければ、安全配慮義務違反として従業員からの訴訟リスクが生じる可能性もあります。企業が適切な対策を行うことで、こうした法的トラブルを未然に防ぐことができ、安心して働ける職場環境を維持できます。

企業イメージ・ブランド価値の向上

さらに、禁煙対策は企業イメージやブランド価値の向上にもつながります。従業員の健康に配慮した職場を提供している企業として対外的にアピールでき、取引先や求職者からの信頼獲得に役立つことでしょう。特に近年では、企業の社会的責任や持続可能な経営が重視されており、健康意識の高い職場環境はその評価にも直結します。

禁煙対策を進め方

受動喫煙は、喫煙者本人だけでなく周囲の従業員や来訪者の健康にも悪影響を及ぼすため、企業には適切な防止対策が求められます。厚生労働省の「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」に基づき、企業は体系的かつ継続的に対策を進めることが重要です。

推進計画の策定

まず、企業は自社の職場環境を把握したうえで、受動喫煙防止のための推進計画を策定する必要があります。具体的には、社内の喫煙状況や従業員の意識を調査し、どのような対策が求められるかを明確にしたうえで、達成目標や時期を設定しましょう。計画策定により、対策の方向性や優先順位が明確になり、実効性の高い取り組みが可能となります。

担当部署・責任者を明確にする

次に、担当部署や責任者を明確にすることも重要です。担当者は、職場の状況を定期的に確認し、問題があれば改善を指導します。また、その結果を経営幹部や衛生委員会に報告することで、職場ごとに適切な対策を講じる体制を整えることができます。

喫煙可能な場所を明確にする

喫煙ブースを設置する場合には、出入口や施設の目立つ場所に標識を掲示し、喫煙可能な場所を明確にすることが義務付けられています。これにより、従業員や来訪者が無用な受動喫煙にさらされることを防ぎ、安心して働ける職場環境を整えることができます。

従業員への教育・啓発

また、従業員に対して受動喫煙の健康リスクや防止策について教育・啓発を行うことも重要です。社内研修やポスター掲示などを通じた情報提供により、職場全体の意識向上を促すことが可能です。

まとめ

近年、企業における禁煙対策は、従業員の健康維持だけでなく、職場環境の快適さや生産性向上、企業の社会的評価向上にも直結する重要な取り組みです。具体的には、社内ルールの明確化や喫煙ブースの設置、未成年者の立ち入り防止措置、喫煙者への禁煙支援など、多角的な施策が求められます。また、法令を遵守することで法的リスクを回避できるほか、健康意識の高い職場環境をアピールすることで企業イメージやブランド価値の向上にもつながります。さらに、推進計画の策定や担当部署の明確化、喫煙場所の標識掲示、従業員への教育・啓発を継続的に行うことで、受動喫煙を防ぎ、安心して働ける職場づくりが可能です。企業がこうした取り組みを進めることは、従業員の健康を守ると同時に、持続可能で信頼される企業経営にも貢献します。

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スモーククリア/(株)エルゴジャパンの画像 引用元:https://www.ergojapan.co.jp/smokeclear/

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